伊藤 慶二

2021.4.10 - 2021.4.25

 空気に春の気配が混じりはじめた頃、新作で溢れんばかりのアトリエを訪れた。いつも感じるのだ。伊藤慶二は、常に新しいことに挑み続ける人だと。だがそれは、強引に突き進むでなく、端から鍵などかかっていなかったのだというように軽やかに扉を開き、そうして目の前に現れた未見の風景を、悠然と愉しみ進んでいく。
 この日も、何ともチャーミングなドローイングを目にして「これも慶二さんの作品ですか!?」と、思わず声に出してしまった。以前から一度やってみたかったという。額というと脇役、でしかないようで気に食わないと本人。額はこの時「物語」そのもの。あるいは描かれた童子は、さしずめ小さな花。一輪挿しの器と花のようだとも思われた。
 オブジェからは優雅さや愛らしさ、滑稽さなどさまざまなオーラが放たれている。土偶は既に完成されているものであり、その土偶からヒントを得てつくられたものではあるが、単なる模倣ではない。21世紀の今、現在の作り手により生み出された象(かたち)なのだという気概が、これを「土象」と名付けさせる。
 自身の彫刻をフロッタージュした作品。千体仏から着想された、わずか数センチの「仏」。新たな試みは続くし「いつか、本当に千体仏を作りたい」さらりと口にもする。ものづくりの挑みに果てはない。やわらかに切っ先を突きつけられ身震いをした。

WORKS

PROFILE

略歴
1958 武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)卒業
1960 岐阜県陶磁器試験場デザイン室勤務
日根野作三に師事
受賞歴
2017 薬師寺 平成の至宝 83選奉納
2016 日本陶磁協会 金賞
2013 地域文化芸術功労表彰/文科省
2007 第四回円空大賞 円空賞
2006 岐阜県芸術文化顕彰
1981 Faenza Prize (IT)
1979 '79日本クラフト展 受賞
1978 世界クラフト会議日本クラフトコンペ 受賞
個展
2023 伊藤慶二の絵と陶彫/小山登美夫ギャラリー/東京
慶/L gallery/名古屋
2022 伊藤慶二展/ギャルリ百草/多治見
伊藤慶二展/小山登美夫ギャラリー/東京
伊藤慶二展/アートサロン光玄/名古屋
2021 3.11鎮魂−魂の宿る場所−/ギャラリー数寄/江南, スペース・アルテマイスター/会津
2020 象/L gallery/名古屋
素描展/橋本美術/名古屋
2019 伊藤慶二陶展−土とたわむれて−/和光ホール/東京
盌展/橋本美術/名古屋
2018 小さきものたち/L gallery/名古屋
土から生まれるかたち/ ギャラリーNOW/ 富山
百草20周年記念企画 伊藤慶二展/ギャルリ百草/多治見
2017 忘れてはならない記憶/オリエンタルデザインギャラリー/広島
2016 過去から未来へのまなざし/ L gallery/名古屋
2015 土を思うがままに/グランビスタギャラリーサッポロ/札幌
2014 伊藤慶二展/館・游彩/東京
土岐、暮れの刻、薪窯の火色/ L gallery/名古屋
2013 ペインティング・クラフト・フォルム/岐阜県現代陶芸美術館/多治見
2012 3.11鎮魂−魂の宿る場所−/スペース・アルテマイスター/会津若松, ギャラリー数寄/江南
101体のスモールトルソー/銀座一穂堂/東京
2011 こころの尺度/岐阜県美術館/岐阜, パラミタミュージアム/三重
2009 月光の石、精神の果/ L gallery/名古屋
伊藤慶二 陶展/銀座一穂堂/東京
面(つら)展/JR名古屋高島屋/名古屋
2008 つら・づら/ギャルリ百草/多治見
2007 陶・伊藤慶二 うつわ展/壷中楽/鹿児島, ギャラリーなかむら/福岡
2006 伊藤慶二 うつわ展/ギャラリー数寄/江南, ギャラリー4CATS/名古屋
2004 ギャラリーマロニエ/京都
2003 ギャラリーNOW/富山
2002 尺度 Series/ギャルリ百草/多治見
2001 正観堂/京都
グループ展
2022 ホモ・ファーベルの断片−人とものづくりの未来−/愛知県陶磁美術館/瀬戸
2021 北陸工芸の祭典 GO FOR KOUGEI/勝興寺/高岡
2018 伊藤慶二・板橋廣美 二人展/ギャラリー数寄/江南
2017 SHIBUI/galleria Monopoli/Millano(IT)
2016年度日本陶磁協会金賞受賞記念 重松あゆみ・伊藤慶二展/壺中居/東京
2016 伊藤慶二 茶陶展−自在−/柿伝ギャラリー/東京
革新の工芸−“伝統と前衛”、そして現代−/東京国立近代美術館工芸館/東京
人が大地と出会うとき/愛知県陶磁美術館/瀬戸
2015 four 次展Ⅱ/L gallery/名古屋
four 次展/L gallery/名古屋
パラミタ陶芸大賞展/パラミタミュージアム/三重
2013 The book as ART/L gallery/名古屋
three 次展/L gallery/名古屋
伊藤慶二+鯉江良二 土に宿すかたち-パイオニアたちの仕事-/樂翠亭美術館/富山
お茶の愉しみ お酒の悦び/ギャルリ百草/多治見
2012 山田節子が選ぶ 器量ある7人の仕事/ギャルリ百草/多治見
2008 茶の湯-内田繁と7人の工芸作家-/銀座一穂堂/東京
国際陶磁器フェスティバル art in mino08 土から生える/美濃一帯・岐阜
2007 土から生まれるもの:コレクションがむすぶ生命と大地/東京オペラシティアートギャラリー/東京
第4回円空大賞展/岐阜県美術館/岐阜
2006 素材への思い-力と可能性/みのかの文化の森/美濃加茂
2005 現代茶の湯の道具 月は雲間に/GALLERY le bain/東京
内田繁と2人展/巷房/東京
夏のお茶展/ギャルリ百草/多治見
2004 心の形 暮らしの形/岐阜県美術館/岐阜
MINO CERAMICS NOW 2004/岐阜県現代陶芸美術館/岐阜
人形(ひとがた)-風景の中の彫刻展/ギャルリ百草/多治見
2003 ORIVE 2003 in NY/Japan society/NY(US)
2002 新工芸精神(韓国・中国・日本ワークショップ招待)/(KR)
近代工芸-百年の歴史/東京国立近代美術館工芸館/東京
日本陶芸の展開/岐阜県現代陶芸美術館/多治見
2001 International Academy of Ceramics/Icheon(KR)
The オブジェ 2001/Gallery NOW/富山
写しの美学/ギャルリ百草/多治見
2000 うつわをみる 暮らしに息づく工芸展/東京国立近代美術館工芸館/東京
International Academy of Ceramics/Hannorver(DE)

PAST EXHIBITION