作品に登場する多くは植物と人。身の回りの小さな世界、目に入るものたちをモチーフにしている。時世柄、旅に出られる訳でもなく、自ずと日常にフォーカスしていったのか。ただし、ネガティブに陥るのではなく、意識が土の中に潜っていくような感覚を楽しんでいる。「こんな時だからこそ、自然の中に戻りたいという思いを多くの人が持つのでは」とも口にした。
制作している時は自由になれる。周囲を遮断するほど集中する。それはとても静かで、例えるなら「夜中に車を運転しているよう」だと言う。不安もありつつ守られている。どこかに行けるかもしれない、たどり着けないかもしれない。心細さ半ば、胸の奥底に小さな火を灯し。その時、夜道を走る彼女の車を月は照らしているだろう。