阿曽 藍人

土のなごり

2022.10.22 - 2022.11.6

 一昨年、美濃加茂の地に移り住み「作品に対する集中度と、制作の楽しさが格段に上がりました」と話す。 阿曽の作品は一般的な焼き物より焼成温度が低い。1000℃を超えると硬質になるが敢えてそれを選ばないのは、土と焼き物の間の生っぽさを遺すため。 焼く前の土が持っている、焼かれた土が持っている両の感触。まだ息をしており湿気さえ含んでいるような「土のなごり」を。
 それは野焼きの必然にもつながる。電気窯で制作していたものの、どこか違和感があった。焼き物で作品を作る意義が今ひとつ見出せなかった。 しかし野焼きを体験した時、煙、匂い、音、色、温度…土が火で焼かれて変化していく状態、土が焼き物になっていくということが初めて肌で感じられた。 頭では理解していたつもりの焼き物の過程が、鮮明に身体に流れ込んできたのだ。 自分でものを作り出す感覚、最初から最後までフィジカルに関わるこのプリミティブな制作方法がしっくりときた。
 閉じた形の中の空気を逃しながら作る、それは空間を造形するともいえるか。生まれたフォルムが次なる行為を誘発する。具体的に何かを盛らずとも受け入れる形。無機ではなく息衝きをやめない有機的な存在感を放ち。虚の手触りを頼りに、今日も阿曽藍人は土とやりとりを続ける。

WORKS

PROFILE

略歴
1983 奈良県生まれ
2009 金沢美術工芸大学 大学院 修士課程 美術工芸研究科 陶磁コース 修了
2010 常滑市立陶芸研究所 修了
個展
2021 阿曽藍人 Inner Land 内なる大地へ/美濃加茂市民ミュージアム /美濃加茂
2020 Heavy void/GALLERY  crossing/美濃加茂
凹/水犀 /東京
2019 EARTH WARE/Galleryうつわノート/川越
2016 土のうつわ/もくぺれ/静岡
touch the earth/Galeria Punto/ 加古川
2015 ギャラリー芽楽/名古屋
2014 阿曽藍人 陶展/TOALHANT/常滑
2013 阿曽藍人 陶展II 赤と黒/ギャラリーゆこもり/松本
2012 阿曽藍人 陶展/canna家具店/名古屋
Galeria Punto /加古川
2010 ノリタケの森ギャラリー /名古屋(2011、12、13、14、15、16)
グループ展
2021 土からはじまる/とうしん美濃陶芸美術館/多治見
日本当代陶器展 | YAKIMONO  焼物/天目里游牧画廊/Hangzhou(CHN)
2020 Modern  Japan  Craft  Exhibition/Public Record/(NZL)
2016 きそがわ日和/美濃加茂
土の冒険のぼうけん/岐阜県現代陶芸美術館/多治見
2015 愛知ノート ―土・陶・風土・記憶―/愛知県陶磁美術館/瀬戸
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015/新潟
2014 アート・プログラム「沙羅双樹」/鶴林寺/加古川
2013 アート・プログラム「施美時間」/鶴林寺/加古川
2011 きそがわ日和/美濃加茂
2010 BIWAKO BIENNALLE 2010/近江八幡
2008 土に触れる/LADS GALLERY/大阪
2007 日中韓現代陶芸―新世代の交感展/韓国工芸文化振興院/Seoul(KOR)

PAST EXHIBITION