人はなぜ人の形をつくるのか。最も身近な存在だからだろうか。物語を紡ぐため、あるいは自身を投影しているとも言えるか。
兎にも角にも、ヒトガタは古くから地域信仰や風習に深く関係し、時に祈りや願いが込められ、また呪いをかけたり災いから身を守るためにも用いられてきた。崇高なる神仏を形で表すのはタブーとする文化もあるが、古より数多の神仏が人の姿で表され信仰の対象となってもいる。
それではなぜ、ロボットは人型を模しているのか。「神のみが人をつくる」という宗教感の薄い日本は人型ロボット研究が最も盛んな国なのだとか。人と同じ環境で活動するため、人体の構造をロボットにトレースしてできることを増やす、というのが最たる理由だが、それだけではないだろう。「鉄腕アトム」以降、ロボットのキャラクターに人型が多いのは、自分たちに近い存在として感情移入し共感性を持たせるためではないか。
今展では6人の作家による、さまざまな「ひとのかたち」を通じて「人はなぜ人の形をつくるのか」の問いに改めて心を寄せてみたい。