阿曽 藍人

静寂と振動

2024.8.10 - 2024.9.8

 以前は、窪みと周囲の空間の関係性に興味があった。その窪みに何らかの立体を組み合わせてみる。と、立体を置く位置によって、いかようにも変化する空間の在り方に惹かれるようになった。
 立方体や円柱、球体、シンプルな造形の連なり。それは、わずかな揺らぎを見せるために必要な端正さでもある。しかし、決して無機的なのではない。土の温もりをたたえ、やわらかな黒で覆われている。一方、平面や球体などのシンプルな形のものは野焼きにし、火の痕跡や偶然性を付加する。近年、フォルムも多様になり、最近では石を取り込んだ作品づくりを試みもした。
 昨年より、ロサンゼルス、ニュージーランド、ハンガリーと海外での発表が続く。海外だからこそ得られる刺激もあっただろう。特にハンガリーでは一週間程を費やし、東欧最大と謳われるバラトン湖北部のジオサイトで、地層の成り立ちが観察できる場所を数多く見学した。洞窟にも立ち入り、土でできた空間に包まれ、強く「地球」を感じたという。大自然には敵わない、しかし小さな立体であってもスケールを超え、洞窟で大きな空間に包まれているような感覚になる作品をつくりたいと思ったそうだ。それは、地球のロマンを内包した作品とも言えるだろうか。

WORKS

PROFILE

略歴
1983 奈良県生まれ
2009 金沢美術工芸大学 大学院 修士課程 美術工芸研究科 陶磁コース 修了
2010 常滑市立陶芸研究所 修了
個展
2024 The Unseen Light/Public Record/Auckland(NZ)
2023 TIME CAPSULE OF CLAY/ギャラリーうつわノート/埼玉
阿曽藍人展/瀬戸市新世界工芸館/愛知
2022 土のなごり/L gallery/名古屋
Heavy void/GALLERY crossing/岐阜
2021 阿曽藍人 Inner Land 内なる大地へ/美濃加茂市民ミュージアム /美濃加茂
2020 Heavy void/GALLERY  crossing/美濃加茂
凹/水犀 /東京
2019 EARTH WARE/Galleryうつわノート/川越
2016 土のうつわ/もくぺれ/静岡
touch the earth/Galeria Punto/ 加古川
2015 ギャラリー芽楽/名古屋
2014 阿曽藍人 陶展/TOALHANT/常滑
2013 阿曽藍人 陶展II 赤と黒/ギャラリーゆこもり/松本
2012 阿曽藍人 陶展/canna家具店/名古屋
Galeria Punto /加古川
2010 ノリタケの森ギャラリー /名古屋(2011、12、13、14、15、16)
グループ展
2024 FRIEZE LOS ANGELES/Santa Monica Airport/Los Angeles(US)
MATTER and SHAPE/Jardin des Tuileries/Paris(FR)
an arena/Barbati Galery/Venezia(IT)
2023 Perspective/GALLERY crossing/岐阜
BOND by SIZED/Dries Van Noten - The Little House/Los Angeles(US)
Ways of Earth/Dubniczay Palace/Veszprém(HU)(2024)
100 Hooks/Blunk Space/California(US)
2021 土からはじまる/とうしん美濃陶芸美術館/多治見
日本当代陶器展 | YAKIMONO  焼物/天目里游牧画廊/Hangzhou(CN)
2020 Modern  Japan  Craft  Exhibition/Public Record/Auckland(NZ)
2016 きそがわ日和/美濃加茂
土の冒険のぼうけん/岐阜県現代陶芸美術館/多治見
2015 愛知ノート ―土・陶・風土・記憶―/愛知県陶磁美術館/瀬戸
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015/新潟
2014 アート・プログラム「沙羅双樹」/鶴林寺/加古川
2013 アート・プログラム「施美時間」/鶴林寺/加古川
2011 きそがわ日和/美濃加茂
2010 BIWAKO BIENNALLE 2010/近江八幡
2008 土に触れる/LADS GALLERY/大阪
2007 日中韓現代陶芸―新世代の交感展/韓国工芸文化振興院/Seoul(KR)
パブリックコレクション
美濃加茂市民ミュージアム/岐阜

PAST EXHIBITION