ロボットアニメに夢中になった子ども時代。次第にストーリーよりもロボットの造形に心奪われ、プラモデルをつくるようになった。プロモデラーになりたいとも思ったことも。それは、正確で緻密な仕事がよしとされている世界。だが大学で彫刻を学ぶ中、その価値観を揺るがされた。いや、しっくりきたというべきか。型などなく、自らの手で作った形がそのまま作品となる。有機的な甘さを残した形、その甘さが心地よかった。さらに釉薬をかける段階でもう一段、形は柔らかさを帯びる。デッサンなどはせず、脳内のイメージに導かれ、即興的につくられるロボットたち。
どれだけ左右対称に構築しようとも焼成時、重力によって俯むいたり肩が落ちたり、バランスは崩れる。それが却ってロボットでありながら、どこか人間くささのようなもの、個々の性格を与える。もちろん上手くいくケースばかりではないが、それもまた陶の持つ魅力の一つ、火の呪いと言えるのではないか。勇ましいだけでなく、狡猾であったり、妖艶であったり、どこか情けなさを感じさせたりもする愛らしい小さなロボットたち。それらの中から気になった一体を手にした時、それは「誰かの」ではなく「あなたの」ヒーローになるだろう。



