相似の庭

山本 一弥 展

2009.12.5(土)-23(水)



バンビや花、野菜、靴、インコ、富士山、キユーピー、ウェディングドレス、肉、哺乳瓶、ガーリッシュな洋服の皺…モチーフは、理屈ではなく偶然眼についたものであったり、ふとした瞬間の閃きによって選ばれるという。が、やっぱりギリギリ通俗的なラインを攻めたい気持ちもありますね、とも告白する。巨大化されたり、ポップな花柄で彩られても俗に陥らないのは、彼の視線が圧倒的に醒めているからだろう。そのあっけらかんとさえしたフラットな視線で、モチーフが含有する概念の最大公約数を捉えようとする。記号としてのバンビや花、靴、インコ…。

シンメトリーにすることで生まれる乱れない端正なフォルム。観ていると不思議と心落ち着くが、同時に言い知れぬざわめきも胸底に沸き立たせる。しっとりとした乳白の触れ心地、ほんの少し透き通った艶やかな肌合、それらがたたえるアルカイックで明るい微笑みが、実際にはありえないものだと解っているからだろう。

遠い、わたしの記憶の中の百合からは遠い、微妙な距離が僅かな不安をおびきよせて、だからこそ、秘密を言い当てられた時の“ドキリ”から少し身をひいていられるのか。でも、遠い、遠くてもわたしの百合はそのどこかに潜んでいるから意識を委ね、記号の百合をみながら、わたしは、わたしを見つめている。合わせ鏡の中の自分の姿を…。