Cirque du monochrome -白黒サーカス-

石田 典子 展

2010.9.25(土)- 10.10(日)



チケットにハサミを入れてもらい中に入ると、外の暗さに反し広がる眩しい世界。高まるドラミング、交差する空中ブランコ、クラウンの素顔は読み取れない。哀愁を帯びたギターの音色、曲芸しながら弧を描く自転車、最後は拍手喝采の綱渡り。しかし広場のテントは、一夜のうちに消え跡形もなくなっている。昨夜の興奮を持て余している町の人々を残し。

今年、トルコを訪れた石田典子。グランドバザールの熱を孕んだざわめきや、彩色タイルやステンドグラスが施されたモスク、数年越しで織られる絨毯の繊細なパターン…アジアとヨーロッパの狭間、エキゾティックで濃密な空気に魅かれた。この旅の記憶と、帰国後に観たサーカスの印象が不思議と自然に重なり、今回の作品たちにつながっているのだという。

夜に浮かびあがる遠い異国で行われるショー、華やかだがどこか淋しい旅芸人たちの記憶。そのうちモチーフは勝手に解かれ、クルクルと踊る動線だけになり、また幕を飾る花模様だけになり、半音づつズレながら紙の上を遊びだす。ぱっと内と外が逆転し、観ているものを闇のテントに置き去りにするような、そんな空恐ろしさもひそませて。

秋のはじまりに、ようこそ“シルク・ド・モノクローム”。涼やかな風に誘われて、ぜひ足をお運びください。