空へと還るII

笹谷 晃生 展

2010.10.30(土)- 11.14(日)



ガラスと合わせることで温室と植物の関係性を表現した、一連の作品。やがてガラスが失われた時、端からそうだったかのように目の当たりにされる繊細なフォルム。それはまるで、彫刻により壁に描かれた樹景。ふとした瞬間、心の寄る辺となる生け花や水墨画の如く、内なる力を秘めながら、つつましく相応しい場に相応しい姿で存在する。

「汲みつくせない豊かさや余韻、植物や自然の有する多様性を投影したい」そう語る笹谷晃生の作品は、植物さながら、部分から成長してゆくように作られる。その制作過程は一見、即興的にも思われる。が実のところは、過去に作品の礎があり、反芻し回顧する中で、より高みを目指してゆきたいのだと言う。例えるならそれは、螺旋の階段を昇り続けるのと近しい。弧を描く動線では、繰り返し同じ景色を見るだろう。けれど知っている。同じ場所に留まっていては、決して見えない広がりがそこにはあると。

展開してきた作品を、極みまで見直すことで、カタチはますます澄んでゆく。普遍的な美しさをたたえ、静謐のうちに物語る詩を包み、日々の暮らしの中、私たちにそっと寄り添う。時と共に、緩やかに育まれながら。

深まる秋から冬への移ろい半ば、季節の匂いに気付き歩みを止める時の心持ちで、ぜひ笹谷晃生の世界をお訪ねください。