Luxaeterna

中田 由絵 展

2010.12.4(土)- 23(木)



森の中、湿った枯れ葉の匂い、枝に絡む螺旋の蔓、草の柔らかなしなり、日陰に咲く小さな花、菌類の傘の裏はミクロコスモス。自然の中にあって小さくか弱いもの、故に愛らしく慈しみをおぼえるのか。また、壮大な空というキャンバスに、留まることを知らずカタチを変えてゆく雲の移ろい。果敢無い。けれど、分解され地を養い、種は運ばれ胞子は漂い、雲は雨となり、巡り還り廻り、再び訪れる約束の日を待つ。

自分の中に残るモチーフ、それを最初にみた時の印象そのままに描きたいという中田由絵。あいまいな記憶の底から、一等煌めく出逢いの刹那を掬いあげ、丁寧に色に線に写し取ってゆく。一色の岩絵具を膠で練り画面へ向かう。乾燥を待つのに数時間。客観的に自らと、作品と対峙し工程を重ねる。

かつては感情をダイレクトに打つけるような描き方もしていたが、 今は画面から感情を剥離させ 、印象だけを定着させようと試みる。どうしても、気づかぬうちに遠ざかってしまう「その場」へと寄り添うための純化。だからこそ彼女の作品には、上滑りすることなく流麗で軽やかな空気がたゆたうのだろう。

吐息も白い駅からの坂道の先、赤い扉の向こうに広がるのは、光宿る瞬きのサンクチュアリ。師走の忙しさからひと時、ふっと心放ちにいらしてください。