Année Sabbatique

坂田 英三 展

2012.11.3(土)- 11.25(日)



今年はAnnée Sabbatique「安息年」だと宣言する坂田。

彼は、滞在制作において「その地で採取したものを使う」という約束事を自らに科す。2、3日歩き回り、たっぷりとその場の空気を身体に取入れ、素材を集め制作にかかるのだ。安息年の契機の一つは、その方向性に反し 事前に作った企画を組立に行くだけ を余儀なくさせるアートフェスティバルの林立だった。

また、環境問題を提起する作品を多く制作してきた彼にとって、今、何をどう表現すべきか立ち止まり考えるための安息年でもある。原子力発電所事故…「後悔」と第二のカタストロフへの「危機感」を如何に表出するか、命題の答えは容易く掴まえられそうもない。

今年に入り、1日1枚ドローイングを描いている。一見、先の命題とは無関係にみえる。しかしそれは、模索の一つの手だてなのだ。日々を重ねることの跡づけ。シリーズで制作を続ける「雨」や「塩」の絵、これらも その日その場を生きる という点で意識は共通している。安息を掲げるわりになぜか、各地で意欲的に活動を展開する2012年。だからこそ却って、和みをもたらす 「安息年」の単語を傍らに、今日も自らの視座を確かめているのかもしれない。

神さまの器からこぼれる運命や巡り合わせといったものを揚力に、風をつかみ軽やかに社会を批判してみせる。表層だけを捉えれば、あまりに異なる見え方の作品たち。けれど、そのどれもが諧謔味あふれ、ライブ感に満ちた表現であると私たちは気づく。5年ぶりとなる日本での個展、どのような坂田英三が提示されるのだろうか。  
R・E