もののけたちの庭

フジイフランソワ展

2013.10.5 (土) - 10.27 (日)



 フランソワの手にかかると、植物、動物、昆虫、道具、モノにイキモノに潜んでいた「もののけ」たちが姿を現す。すべては等しくそこに在る。方々で耳にする言葉のような気もするが、フランソワの絵から感じるのは例えば、もののけの類いが人を食わねばならぬというのならばそれすらも受け容れるといった、ある種の覚悟を持った等しさへの眼差しだ。

 橘の実が兎化する。それとも羽化か。ウサギは一羽二羽。ふと、独りごちる。実が熟れきればそのまま飛び立ちそうな軽やかさ、あるいは地に墜ちたらばピョンピョンと飛び跳ねるのか。花が咲きながら実も成り、そこには実を狙う蛇や鳥も在る。「捕食、被食の関係は、互いの存在を認め合う関係でもあるのではないか」と彼女は言う。兎も鳥も蛇も神使。どちらが善く、どちらが悪いということもなかろう。「くるい」ながら調和がとれた画面は、柑橘の爽やかな香りとともに生命で充ちている。

 夕刻でなくともフランソワの絵に向かえば、それは逢魔が時。秋のひと時、もののけたちの庭へと足を踏み入れてみませんか。