夢のつづきの夢のつづきの夢のなかの森

中田 由絵展

2013.11.2 (土) - 11.24 (日)



 近年は感情を極力遠ざけ、精神状態をフラットにし制作にあたってきたという。今は少し違う。感情を自ら手繰り寄せ、見つめ直し、もう一度胸に抱き作品へと還す。そのためだろうか。今回、この手法を取るようになってから、童話シリーズを除き初めてモチーフに人物が登場している。

 夢の中の森を彷徨う少女。ラフスケッチには多くのメモが書き込まれていた。残された短いセンテンスや単語は生々しくもあるが、作品の筆致はこれまで通り丁寧に静かなままだ。ただ幾つもの森がレイヤーとなり、どのパーツがどの少女の夢なのか判別はつかない。散った夜の腐葉土に、芽吹く夜と夜と夜と。不安が緻密に織り込まれ、樹々や花のざわめきが絶え間なく鼓膜を震わせる。夜に生きるモノのうごめきが、ぞわり喉元を撫でる。

 繰り返される夢。しかしその夢すら、ディティールは変容し物語は歪んでゆく。イニシエーション。夢の入口にはいつも、脱ぎ捨てられた今日の自分がぐにゃりと折り畳まれ、予感せざるを得ない、けれど、ひんやりとした水の中から拾い上げて。微かな望みを夢の中の夢から拾いあげて、月光に翳して。

 深まる秋の午後、日々細胞が生まれ変わるようにゆっくりと、しかし確実に変遷する、中田由絵の世界へとお訪ねください。