相似の庭 III

山本 一弥 展

2014.3.15 (土) - 4.6 (日)



 春の陽射しにも溶けぬ永遠の国、その王国の建造物、あるいは感情を持たぬと言われる女王の、自身も知らない感情を形にしたらこうなるのかしら… もしかすると彼は、誰も知らないとびきり美しいおとぎ話を、この世でただ一人、知ってしまった者なのかもしれない、そう思う。  「自分自身、イメージを限定しないものに惹かれるから」と作家は話す。だからこそ、いつも無意識からの出発。あらかじめ作品の帰着点を想像することなく、偶然性に身をまかせ、感覚にリンクする部分のみを抽出する。その形はいつ出逢ってもフェミニンでエロティック、フェティッシュでミステリアス、とても安定しているはずなのに近づきすぎると脳内でアラートが響く。  焦点をぼかしながら眺める世界。意味を持たない「景色」という名前の景色の中、視界の片隅に一瞬間、象を結ぶ断片。何気ない素振りで掴まえたらそこから、そっと抱きよせて。あらゆる属性から軽やかに離れ、新たな「なにものか」として目の前に現われる。淡く光りを宿し、ふたたび誕生を迎えるその時まで。