空間概念

丹羽 康博 展

2014.9.13 (土) - 9.28 (日)



「画家として、キャンヴァスに穴を穿つ時、
 私は絵画を制作しようと思っているのではない」
             ルチオ・フォンタナ

丹羽康博は、コンセプチュアルアートをつくろうとし、制作に臨んでいるわけではない。既成の概念を疑い、ものづくりにあたる。結果、コンセプチュアルアートにカテゴライズされるような形態をなすだけなのだ。
「詩としての彫刻」から発展した、行為の集積である「詩としての行為」。その延長にある 『 untitled ( letter ) 』のシリーズは、これまで手がけてきた行為の集積とは感覚を異にするという。描くことは彼にとって特別なのだ。目や手、思考など、描いている時の意識の深さは、その他の行為では体験できないものなのだと。
何を描いているという訳ではない。速度を感じる筆致、線は重なり、色は層を成し、紙は脆く破れ穴があく。思いや意志を届ける装置としての手紙のはずが、動が静に定着されてもの言わぬ。視覚だけの嵐のただ中に立つが、音はない。
生活空間を横切ってくる、他者を介してその場まで運ばれた。あなたは視る、手紙から平面に姿を戻した1枚の絵を。その時、光が放たれる。コトバの代わりに送られた、刻まれた時間と思念が、心の一番フラットな場所に透写される。