ドローイングを切り、別のドローイングに貼りつける。ぽっかりとした間が生まれる、浮遊感。紙の厚み分のエッジ、世界がそこだけ変換される。主に版画を制作していた時から好んだ技法だ。版画から描くことへ。描くことは自由だから終われない、終われない終わりに自身で終止符をうつ。刷る代わりにハサミをいれる、貼る。
「昔は物語の中に登場人物が沢山いて、それをモチーフにしてました。でも、今はみんな居なくなっちゃったんです。どっかに行っちゃって」事もなげに石田は言う。そのことにさしたる不安はない。なぜなら、(時折現れる通りすがりの者を除いて)登場人物が居なくなっても、物語は続いているからだ。人が居ないので以前ほど容易く、私たちがストーリーを読み取れないというだけで。
環境の変化も手伝い、今は[住まうこと]や[空間]に興味があるという彼女。昨年海外を旅行した際も、出会った作家がどんな場所でどんな生活をしているのか、表現のベースとなる暮らしぶりに自然と目が向いた。そして、気がつくと家のような形を描くことが多くなった。
しかしこうも口にする。具体的な何かを描きたい訳ではないんです。例えば、気持ちの縁に引っかかったままの、見たはずなのにどうしても思い出せない昨夜の夢。きっかけがあれば一息に解けそうなのに、糸口がみつからない。彼女は「こんな感じ」を丁寧に紡ぎ、観る者にそっと差し出す。世界とすり合う瞬間立ち上る。残り香。私たちは感じる。かつてそこに住まっていた、存在していたものの気配を。そうして、静かに進行している物語の時間軸を。
R・E
| 略歴 | |
|---|---|
| 1983 | 愛知県生まれ、岐阜県在住 |
| 2007 | 名古屋芸術大学 美術学部 大学院 同時代表現研究領域 卒業 |
| 2011 | Internaional Art Workshop 2011(DE) |
| 個展 | |
| 2011 | flowers/文化フォーラム春日井/春日井 |
| 2010 | Cirque du monochrome 白黒サーカス/L gallery/名古屋 |
| 2008 | Yes/Noの三つ編み/L gallery/名古屋 |
| 2007 | ギャラリーすずき/京都 伊勢現代美術館/南伊勢町 |
| グループ展 | |
| 2012 | LEXHIBITION/L gallery/名古屋 AETER DENMARK 2012 LICCA ITO×NORIKO ISHIDA/Gallery BE(名古屋芸術大学)/名古屋 |
| 2011 | International Art Workshop 2011/(DE) LEXHIBITION/L gallery/名古屋 |
| 2010 | あいちアートの森/常滑、名古屋 LEXHIBITION/L gallery/名古屋 |
| 2009 | outopos/ギャラリーAPA/名古屋 PLINT MATTERS/La Lanta Fine Art/Bangkok(TH) LEXHIBITION/L gallery/名古屋 |
| 2008 | 記憶の庭で遊ぶ 東山荘アートプロジェクト/東山荘/名古屋 LEXHIBITION/L gallery/名古屋 |
| 2007 | GIRLEXHIBITION/L gallery/名古屋 K109展/名古屋市民ギャラリー矢田/名古屋 |
| 2006 |
enui アンニュイ展/ギャルリーDECO/名古屋 Y POWER 5人展/ギャラリーくさ笛/名古屋 美系優秀/文化フォーラム春日井/春日井 第31回全国大学版画展/町田市国際版画美術館/東京 |
| 2005 |
Art in Living/名古屋市港区西築地界隈/名古屋 第30回全国大学版画展/町田市国際版画美術館/東京 |
| 2004 | 第29回全国大学版画展/町田市国際版画美術館/東京 |