アメリカでイラストレーターとして大いに活躍したドナルド・シルバーステイン(1932-2004)。数多くの絵本に挿絵を提供しており、日本の雑誌にも度々取り上げられてきたこともあり、どこかで彼のイラストを目にしたような気がする、という人も少なからずいるのではないでしょうか。
モチーフは動物や乗り物、人物や建築物など多岐に渡り、愛らしいだけでなく風刺やエロスを巧みな筆捌きで織り込み描いてきました。例えば今回、DMの表紙に使用したイラストなどは、弱者の犠牲によって成り立つ強者、世界を混乱に導いている某国の大統領をつい思い浮かべてしまいませんか。
一方、絵画作品は抽象的でありながら、音楽を感じさせるような優雅なラインが印象的です。残されたおびただしい数のドローイングからは日常的に筆を動かし、いかに恣意的なラインが生み出せるかを試行錯誤していたことが伺えます。翻って、組子細工さながら緻密に構成された作品群もまたドナルドの真骨頂だったと言えるでしょう。またパートナーが日本人であったため長きに渡り在日し、イラスト、絵画ともに日本的なモチーフも多く描きました。
今回、L galleryではイラストレーター、アーティスト、2つの側面を持ち合わせたドナルド・シルバーステインの世界を紹介します。ぜひ、足をお運びください。