丹羽 康博

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2016.12.10 - 2016.12.25

 丹羽康博による今展は、ドローイングが中心となる。ほかの作品では言葉が密接に関わってくるが、言葉から一旦、離れてみようという試みに相応しいのがドローイングだった。予期した以上の自由さがそこにはあった。素材との行為の関係性を詩的に紡いできた丹羽にとって16くことは特別な行為なのだ。
 はじめは画面と会話があるが、描いていく中でそれすらもなくなっていく。目指すべき地点は、「自然がそうさせたような佇まい」。筆跡が残る地点を越えてからがスタートだという画面からは、無駄な思惑が消え失せた後の、名前のつけられない「ナニモノカ」の気配が立ち昇る。決して自分では名づけはしないが、放し飼いだから観る人が好きに想像してもらうのは構わない、その思いが展覧会名にも表れているのだろう。
 己が安心したいだけという気持ちをひた隠し、名前をつけなければ存在し得ないというように、すべてに名前をつけたがるものたちを、端から幕でも引っ張るようにして世界が捲くれ上り闇ばかりになり、やがてその闇も世界ごと消してしまう。口にしてしまえば、ただの弱弱しい言葉にしかならない、血の流れる身体の中でしか生きることのない力を宿して。

WORKS

PROFILE

略歴
1983 岐阜県 土岐市生まれ
2007 名古屋芸術大学 美術学部 造形科 卒業
2009 愛知県立芸術大学大学院 美術研究科 彫刻領域 修了
2012 愛知県立芸術大学大学院 博士後期課程 彫刻領域 単位取得退学
個展
2020 警鐘 –Warning–/L gallery/名古屋
2018 行為と思索 –action and contemplation-/L gallery/名古屋
2015 Shift Cube vol.33 丹羽康博展/文化フォーラム春日井/春日井
2014 APMoA Project, ARCH vol.10 丹羽康博『詩としての行為』/愛知県美術館/名古屋
空間概念 -Concetto spaziale-/L gallery/名古屋
Receptor/GALLERY CAPTION/岐阜
2011 Sculpture as poetry –詩としての彫刻–/L gallery/名古屋
recuerdo/cafe CAWA/春日井
2010 Life/川端の家/常滑
私は波打際で“迷宮の壁”のかけらをみつけた/常滑屋/常滑
2007 丹羽康博展 ゆきあうなみおと/Art Gallery 直指天/名古屋
滞在制作project vol.1 丹羽康博展 ひくとみちる/art & design rin’/常滑
グループ展
2017 collection/selection:08/GALLERY CAPTION/岐阜
2016 人が大地と出会うとき/愛知県陶磁美術館/瀬戸
2015 藤本由紀夫×丹羽康博「台本は書かれた」/GALLERY CAPTION/岐阜
collection/selection:06/GALLERY CAPTION/岐阜
2014 韻 –sound of the words/GALLERY CAPTION/岐阜
余韻/GALLERY CAPTION front/岐阜
2013 The book as ART/L gallery/名古屋
愛岐トンネル群・アートプロジェクト2013 荒野ノヒカリ/愛岐トンネル群/春日井
2012 ファン・デ・ナゴヤ美術展2012 緘黙する景色/市民ギャラリー矢田/名古屋
2011 AICHI GENE –some floating affairs–/愛知県立芸術大学、清洲市はるひ美術館、豊田市美術館
2010 サテライト スープ/ L gallery/名古屋
LEXHIBITION/L gallery/名古屋
exhibition -Seitai-『生態』/古民家ほとぎの家・ざわざわ/長久手
2009 LEXHIBITION/L gallery/名古屋
2008 LEXHIBITION/L gallery/名古屋
常滑フィールド・トリップ2008/常滑市内('09 '10 '11)
2007 Taste of Art/Gallery G/名古屋
TOKONAMECH’07/元丸利陶管工場/常滑
2006 Taste of Art/Gallery G/名古屋
名古屋芸術大学写真部展覧会『夜』/愛知芸術文化センターアートスペースX/名古屋
名古屋芸術大学写真部展覧会『白黒』/名古屋芸術大学 構内/名古屋
2005 K-109展/名古屋市民ギャラリー矢田/名古屋
2004 メメント・モリ展/名古屋芸術大学 構内/名古屋
Develop 名古屋芸術大学写真部展/名古屋芸術大学 構内/名古屋

PAST EXHIBITION