湯浅 未浦

ここからのはじまり

2021.6.12 - 2021.6.27

 世界の大きな転換期すら、湯浅未浦にとっては「特別な時間をもらえた」ギフトであったという。 閉塞感は特に感じなかった。「人生の中で、これだけ制作だけに打ち込める時間を得られたことなどなかったですから」。 実際、彼女以外の作家からも、この時世で制作が捗ったとの言葉を何度か耳にしたことがある。
 形を作るだけがものづくりではない、たっぷりと時間をかけて目の前の対象とやりとりをする。 途切れ途切れの時間では中々、深いところまで辿り着くのは難しい。 どっぷりと打ち込むうちに、見えてきたものがあった。刻むものが具象であれ抽象であれ、 これまでも分け隔てなく向かっていたいと思っていたが、どこかで差異も感じていた。 その距離が随分と縮まった、と。具象、抽象関わらず、より感覚的なやりとりで彫刻できるようになったそうだ。
 「今まで知らなかった自分にも出会えた気がします」とも口にする。 ドローイング的な作品に意欲的に取り組み、これまで一切、興味が持てず、拒否反応さえ示していた「色」にも挑みはじめた。 これには本人さえも大きな驚きで、「自分でも不思議で、何故だか理由が全くわからない」らしい。 ウイルスは忌み嫌うべき存在ではあるが、皮肉にも時間という名の賜物をもたらした。 自身に起こった変化の数々にいささか面食らいながらも、今日も湯浅は木を彫り何かを刻む。

WORKS

PROFILE

略歴
2002 東京藝術大学 美術学部 彫刻科 卒業
2004 東京藝術大学 大学院 彫刻専攻 修了
個展
2023 呼吸のカタチ/L gallery/名古屋
2021 ここからのはじまり/L gallery/名古屋
2019 時・刻む・想/L gallery/名古屋
2018 個展/THE BLUE BOX GALLERY/岡崎
2017 流れる時間/L gallery/名古屋
2015 ~木彫展~/画廊じんがら/知立
2014 個展/THE BLUE BOX GALLERY/岡崎
2012 個展/画廊じんがら/知立
2009 個展/画廊じんがら/知立
2006 個展/画廊じんがら/知立
2004 個展/画廊じんがら/知立
グループ展
2020 RECEPTOR/masayoshi suzuki gallery/岡崎
2019 GIFT展/THE BLUE BOX GALLERY/岡崎
2018 GIFT展/THE BLUE BOX GALLERY/岡崎
2017 GIFT展/THE BLUE BOX GALLERY/岡崎
2016 サマーズ展/THE BLUE BOX GALLERY/岡崎
2016 スプリング展/THE BLUE BOX GALLERY/岡崎
2015 GIFT展/THE BLUE BOX GALLERY/岡崎
2014 Global Artist Movement展・文部科学大臣賞/豊田市美術館/豊田
GIFT展/THE BLUE BOX GALLERY/岡崎
2013 21世紀の立体造形 −シリーズ最終章− /松坂屋 名古屋店/名古屋
2009 コンテンポラリー展/刈谷市美術館/刈谷市(〜2016)
2008 21世紀の立体造形 vol.2/松坂屋 名古屋店/名古屋
2007 宮崎国際現代彫刻 空港展/宮崎空港/宮崎(2008、2009)
Continue再会展/KEY Gallery/東京
とよた美術展’07 入選/豊田市美術館/豊田
2006 京展 入選/京都市美術館/京都 
2005 コDISCOVERY/KEY Gallery/東京(2005)

PAST EXHIBITION