伊藤 慶二

2023.12.16 - 2024.2.4

 晩秋の淡い光が射し込むアトリエ、足を運ぶといつもいつも新しいものづくりに取り組んでいる作家の姿がある。そうして、アトリエそのものが、まるで一つの宝箱のようだ。激しさと静けさがぶつかり合い、発した熱が徐々に引き、薄くぬくもりの残る空気。
 いたずらを仕掛けるような微笑みとともに差しだされた新作を見て、驚き、思わずこちらも頬を緩めた。実験的だとかを超えて自由に遊び心がスパークしている、年齢など関係ないのだなと心底、思わされた瞬間だった。
 「神判に用いられた伝説上の生き物、廌」と心、「ゆっくり行くの意を持つ足の象形、夂」が合わさり 「人のよろこびを祝いに行く」を意味する「慶」という字が成り立ったとも言われている。正月をまたぎ開催する今展は何ともめでたく、祝いに満ちた空間になりそうだ。
 師走の慌ただしさからお正月、ゆるやかに流れる時の合間、伊藤慶二の手から生まれた賜物たちが、あなたとの出逢いを待っている。

WORKS

PROFILE

略歴
1958 武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)卒業
1960 岐阜県陶磁器試験場デザイン室勤務
日根野作三に師事
受賞歴
2017 薬師寺 平成の至宝 83選奉納
2016 日本陶磁協会 金賞
2013 地域文化芸術功労表彰/文科省
個展
2023 伊藤慶二の絵と陶彫/小山登美夫ギャラリー/東京
慶/L gallery/名古屋
2022 伊藤慶二展/ギャルリ百草/多治見
伊藤慶二展/小山登美夫ギャラリー/東京
伊藤慶二展/アートサロン光玄/名古屋
2021 3.11鎮魂−魂の宿る場所−/ギャラリー数寄/江南, スペース・アルテマイスター/会津
2020 象/L gallery/名古屋
素描展/橋本美術/名古屋
2019 伊藤慶二陶展−土とたわむれて−/和光ホール/東京
盌展/橋本美術/名古屋
2018 小さきものたち/L gallery/名古屋
土から生まれるかたち/ ギャラリーNOW/ 富山
百草20周年記念企画 伊藤慶二展/ギャルリ百草/多治見
2017 忘れてはならない記憶/オリエンタルデザインギャラリー/広島
2016 過去から未来へのまなざし/ L gallery/名古屋
2015 土を思うがままに/グランビスタギャラリーサッポロ/札幌
グループ展
2023  24周年企画 好きなかたち展/ギャラリー数寄/江南
 伊藤慶二と薫陶を受けた作家たち/樂翠亭美術館/富山
2022 ホモ・ファーベルの断片−人とものづくりの未来−/愛知県陶磁美術館/瀬戸
2021 北陸工芸の祭典 GO FOR KOUGEI/勝興寺/高岡
2018 伊藤慶二・板橋廣美 二人展/ギャラリー数寄/江南
2017 SHIBUI/galleria Monopoli/Millano(IT)
2016年度日本陶磁協会金賞受賞記念 重松あゆみ・伊藤慶二展/壺中居/東京
2016 伊藤慶二 茶陶展−自在−/柿伝ギャラリー/東京
革新の工芸−“伝統と前衛”、そして現代−/東京国立近代美術館工芸館/東京
人が大地と出会うとき/愛知県陶磁美術館/瀬戸
2015 four 次展Ⅱ/L gallery/名古屋
four 次展/L gallery/名古屋
パラミタ陶芸大賞展/パラミタミュージアム/三重

PAST EXHIBITION